2020.5.25
輝 進 VOL.292
お菓子はどんなときも人の心を豊かにしてくれる笑顔の源である。新型コロナ対策で人の動きが制限され自粛ムードが続いている。駅や空港、観光地はゴーストタウンのようになり、ゴールデンウイークはステイホームウイークということで本当に人出がなかった。観光土産業界も大変な打撃をうけている。弊社もトピコ店は開業以来はじめて約2週間休業した。
家にこもっている人が多いので食品スーパーはどこも通常よりお客さんが増え特需のようである。いとく新国道店は弊社も連日忙しく好調だった。販売の皆さんの頑張りに感謝したい。甘夏大福や幸せバニラどら焼き、レモンケーキ、ニコニコマークのついたスフレブッセ等が好評で売れ行きもいい。家族団らんで榮太楼のお菓子を楽しんでいただいていると思うとありがたいことである。ご来店いただいたお客様にアマビエのイラストのついた感謝メッセージカードをお渡ししているが好評で魁新報に相原課長が取材をうけて掲載された。
母の日は花徳さんが大盛況だったが、有田社長からお声がけいただき、花徳・榮太楼コラボギフトとしてさくらゼリーとお花のセット商品を限定販売したところ、評判がよかった。気持ちを込めて魅力的な演出をすることでお客様の琴線に響くのだと思う。トップ食品さん経由でコープこうべから、矢留の香りの2500箱を超える大口注文をいただいた。神戸のお客さんに秋田の銘菓を喜んで召し上がっていただけたら嬉しい限りである。このご時世にご用命いただき感謝の気持ちでいっぱいである。
コロナ騒動の影響でさまざまな業種がダメージを受けており、国も秋田県、秋田市、商工会議所も多岐にわたる支援体制を組んで実行に移している。秋田県観光連盟理事会や、秋田商工会議所商業部会でも、現在の状況について情報を共有しつつ忌憚のない意見交換をおこなった。緊急事態宣言は秋田では14日に解除されたが、首都圏等は今月末になりそうで、解除されたあともウイルスに対する有効なワクチンや特効薬ができない限り、しばらくは人の移動や集まりは引き続き制限されそうである。みんなで知恵をだして力をあわせてこの難局を乗り切っていきたい。行政も資金面だけでなくさまざまな施策で民間企業を支えていこうとしている。我々も英知を結集して会社の存続を図っていきたい。
テレワークやオンラインによる情報交換が企業では進められている。政治家は国民に新しい生活様式に取り組むようにメッセージを出している。私は「新しい生活」という言葉には違和感を覚える。しかしアフターコロナは人々のライフスタイルや価値観が激変することは間違いない。パラダイムシフトがおきたあとの世の中で商売のやり方・商流も大きく変わるだろうからその時にどうやって飯を食っていくかよく考えながら、今のお客様を大事にしつつ未来のお客様に対するアプローチをしていきたい。
弊社も売り上げの落ち込みが大きく苦戦しているのでSOSをだしながら営業にまわったところ、秋田県のうまいもの販売課の皆さん、秋田県総合食品研究センターの皆さんが、榮太楼のかわら版を回覧してたくさんお菓子を注文してくださった。ありがたいことである。皆さんの厚意が伝わってきて胸が熱くなった。「捨てる神あれば拾う神あり」である。
秋田市では、スペースプロジェクトドリームフィールドで「地元産品応援セール」を開催することになり、初日は榮太楼もエントリーした。皆さんの力を借りながらあの手この手で売り上げを創っていきたい。
菓子舗榮太楼が創業して間もない明治19年(1886年)には秋田でも天然痘とコレラがはやり約3200名が亡くなっている。祖父庫吉が3代目をついだ大正8年(1919年)から約3年間はスペイン風邪が流行し日本で約40万人が亡くなった。新たなウイルスや疾病との闘いは人類の歴史の中で繰り返されその都度我々は乗り越えてきている。第二次世界大戦では日本人死者が310万人を超え戦後焦土と化した日本はそこから立ち直ってきた。弊社も昭和24年(1949年)に菓子製造販売を再開し、祖母キセが陣頭指揮してはじめはパンの製造をしながら戦後の復興を果たした。
バブル崩壊とともに社長になった私は食糧費問題、金融ビックバン、東日本大震災など平成の時代の変化を乗り越えて皆さんのおかげで榮太楼丸を荒波にもまれながらも航海させてくることができた。たしかにこの新型コロナは世界中を震撼させている大敵であるが、なにも恐れることない。従業員の皆さんも不安でいっぱいのことと思うが、過去の歴史が証明するように榮太楼は見えない力で守られている。榮太楼サービス綱領を胸に刻み、みんなで世のため人のため秋田のために榮太楼の力を結集して頑張っていこう!あと3年で創業140周年を迎える。そのときにはみんなで笑って乾杯したいものである。
28日は榮太楼中興の祖である4代目キセの50回忌を迎える。菩提寺・本妙寺で50回忌法要を執り行う。おばあちゃんは包装室に肖像画があり、今も榮太楼を守ってくれている。孫が不甲斐ないので天国でヤキモキしていると思うが、しっかり榮太楼を再生させて安心させたい。リボーン榮太楼!!
今年は竿燈まつりをはじめ様々なまつりやイベントが中止になった。竿燈の総合進行役を私は30年連続でつとめてきたが、ついに今年はマイクをもつことができなくなった。五穀豊穣を祈り邪気を払う祭りがねぶり流し(竿燈)である。それぞれの町内の竿燈はきっと上がりコロナを払ってくれることだろう!
夏の甲子園での高校野球も中止になった。プロ野球やJリーグもまだ試合ができない状況で開幕しても当面は無観客のようである。バスケットBリーグもシーズンが途中でおわり尻切れトンボのようになり、ファンもストレスが溜まっている。大相撲夏場所も中止になり、7月の名古屋場所は国技館に変更して行う予定である。夏場所の番付は発表になり、大嶽部屋の納谷3兄弟(幕下納谷、三段目夢道鵬、序の口鵬山)がはじめてそろって番付にのり楽しみにしていたが残念だった。高田川部屋の力士がコロナ感染のため亡くなってしまい衝撃が大きくこの先も予断が許さない。早く国民が観光や文化やスポーツを心から楽しめる日がくることを願ってやまない。
見えない敵との闘いはまだしばらく続きそうだ。不安で仕方ない人が多いと思うが、油断せずあきらめず気持ちを明るく前向きに持って、希望を失わずに頑張っていこう!
意思のあるところに道が開ける!!
社長 小国輝也